こんにちは。
ハンドメイド起業のための数秘コンサルタントの石塚仁子です。
「長く愛されるハンドメイド作品を作るために」シリーズ 第1回
今回は、アクセサリーパーツに使われる素材の違いと、作品に合ったパーツの選び方についてご紹介します。
今回は、少し難しく感じる内容が含まれているかもしれません。
できるだけ分かりやすく解説しますので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
私は以前、メッキに関わるものづくりの会社に勤めていました。化学はあまり得意ではありませんが、メッキ工場へ納品や集荷に伺った際、基本的な仕組みについて簡単に教えていただいたことがあります。
そのため、メッキの基本的な構造は知っていましたが、アクセサリー作家として活動する中で、「知っていてよかった」とあらためて感じる出来事がありました。
パーツを選ぶうえで役立つ知識として、文章や図解に残しておくことも大切だと思い、今回の記事にまとめることにしました。
以前、イベントに参加したとき、デザインはとても素敵なのに、イヤリングのクリップが緩んでいたり、金具が黒ずんでいたりする作品を見かけたことがありました。
作品そのものが素敵だったからこそ、「パーツの状態が整っていれば、もっと魅力が伝わるのにもったいないな」と感じたのを覚えています。
もちろん、これは誰かの作品を批判したいという話ではありません。
ハンドメイド作品の印象は、メインとなる素材だけで決まるものではありません。
ピアスやイヤリングの金具、丸カン、チェーンなど、小さなアクセサリーパーツも作品の一部です。
今回は、「長く愛されるハンドメイド作品を作るために」シリーズの第1回として、アクセサリーパーツに使われる主な素材の違いと、私がパーツを選ぶときに意識していることをご紹介します。
作品が素敵でもパーツでもったいないことがある
アクセサリーを作るときは、お花や天然石などのメインモチーフに目が向きやすく、金具は脇役のように感じるかもしれません。
しかし、お客様が実際に身に着けるときに触れるのは、ピアス金具やイヤリング金具、ネックレスの留め具などのパーツです。
金具の色が作品と合っていなかったり、時間がたって変色していたりすると、作品全体が古く見えてしまうことがあります。
また、イヤリング金具が緩ければ、身に着けている途中で落ちてしまうかもしれません。
せっかく時間をかけて作った作品なのに、パーツの状態によって魅力が十分に伝わらないのは、とてももったいないことです。
だからといって、すべての作品に高価なパーツを使えばよいというわけではありません。
大切なのは、素材の特徴を知り、作品のデザインや用途、販売価格、お客様に合ったパーツを選ぶことです。
イベント前にパーツの状態を見直すことも大切
私も以前、イベントへ持っていく作品を準備していたとき、使用していた金具が少しくすんでいることに気づきました。
作品を完成させたときには気にならなかったのですが、保管している間に金具の状態が変わっていたのです。
そのまま販売することはできないと考え、イベント前にパーツを交換しました。
交換には時間がかかりましたが、気になる状態のままお客様に見ていただくよりも、安心して手に取ってもらえる状態に整えることを優先しました。
この経験から、作品は完成した時点だけでなく、販売前にもパーツの状態を見直すことが大切だと感じています。
素材によって、色合いや質感、時間がたったあとの変化の表れ方は異なります。
まずは、アクセサリーパーツによく使われる素材について知っておきましょう。
アクセサリーパーツにはどんな素材がある?
アクセサリーパーツの商品ページを見ると、「合金」「真鍮」「ステンレス」「14KGF」など、さまざまな表示があります。
見た目が似ていても、素材や表面加工が同じとは限りません。
ここでは、ハンドメイドアクセサリーでよく見かける素材の基本的な特徴をご紹介します。
合金
合金とは、複数の金属を組み合わせて作られた素材のことです。
アクセサリーパーツでは「合金」や「金属合金」とだけ表示されている商品もあります。
比較的取り入れやすい価格の商品が多く、デザインや形の種類も豊富なため、ハンドメイド作品で広く使われています。
ただし、「合金」という表示だけでは、どの金属がどのくらい使われているのか分からないこともあります。
肌に触れる金具に使う場合や、お客様へ素材を説明する必要がある場合は、分かる範囲で詳しい素材情報を確認しておくと安心です。
真鍮
真鍮は、銅と亜鉛を主成分とする合金です。
加工しやすく、アクセサリーパーツや装飾品にもよく使われています。
真鍮そのものの落ち着いた色合いを生かしたパーツもあれば、表面にゴールドやシルバーなどのメッキ加工を施したパーツもあります。
空気や湿気などの影響によって色合いが変化することがあるため、素材そのものなのか、表面加工がされているのかも確認して選びましょう。
ステンレス
ステンレスは、鉄を主成分とし、クロムなどを含む合金です。
表面に薄い保護膜が作られるため、一般的な鉄と比べて腐食しにくく、アクセサリーパーツにも使われています。
ただし、ステンレスにもさまざまな種類があります。
商品ページに「ステンレス」とだけ書かれている場合は、可能であれば種類や表面加工の有無も確認しておきましょう。
また、ステンレスだからまったく変色やサビが起こらないというわけではありません。使用する環境やお手入れの方法によって、状態が変わることもあります。
サージカルステンレス
ハンドメイドアクセサリーでは、「サージカルステンレス」や「サージカルステンレス316L」と表示されたパーツもよく見かけます。
ただし、「サージカルステンレス」という言葉だけでは、具体的なステンレスの種類まで分からないことがあります。
316Lはステンレスの種類の一つで、耐食性(金属や材料が腐食に対してどれだけ抵抗できるかを示す性質)が求められる製品にも使われている素材です。
パーツを購入するときは、「サージカルステンレス」という言葉だけで判断するのではなく、316Lなどの具体的な素材表示があるかも確認しています。
なお、サージカルステンレスを使用していても、すべての方に金属アレルギーが起こらないと保証できるわけではありません。
素材の特徴とアレルギー対応の考え方については、このシリーズの第3回で詳しくご紹介します。
Silver925
Silver925は、銀の含有率が92.5%の素材で、スターリングシルバーとも呼ばれます。
純銀はやわらかいため、強度や加工のしやすさを補う目的で、残りの7.5%にほかの金属を加えて作られています。
上品な輝きがあり、素材そのものの質感を楽しめる一方で、空気中の成分などの影響によって黒ずむことがあります。
黒ずんだからすぐに使えなくなるわけではありませんが、素材に合ったお手入れ方法をお客様へ伝えることも大切です。
14KGF
14KGFは「14K Gold Filled(ゴールドフィルド)」の略で、真鍮などの芯材に14金の層を圧着した素材です。
一般的な表示例である「1/20 14K GF」は、金属全体の重量の20分の1以上に14金が使われていることを表します。
表面にごく薄く金属を付ける一般的なメッキとは製造方法が異なり、金の層を比較的厚く持たせた素材です。
ゴールドらしい色合いを楽しみながら、作品に取り入れやすい素材として使われています。
ただし、14KGFも永久に色や状態が変わらない素材ではありません。使用状況や保管方法によって変化する可能性があるため、素材名だけでなく、取り扱い方法もあわせて伝えましょう。
メッキってどういう仕組み?
アクセサリーパーツでよく見かける「ゴールドメッキ」や「ロジウムカラー」は、土台となる金属そのものの色とは限りません。
メッキとは、金属などの表面を別の金属の薄い膜で覆う表面加工のことです。
例えば、真鍮や合金で作られたパーツの表面に、ゴールドカラーやシルバーカラーの金属膜を付けることで、見た目や機能を整えています。
丸カンのような丸い線材を断面で見ると、中心に素材となる地金があり、その周囲を下地メッキ層、さらに一番外側を表面のメッキ層が360度覆っているイメージです。

図解は、メッキの構造を分かりやすくするために簡略化したものです。
実際には、下地メッキを使わないものや、複数の下地層を重ねるものなど、商品や加工方法によって層の構成が異なります。
基本的には、次のような部分に分けて考えることができます。
- 表面のメッキ層:ゴールドやシルバーなど、見た目の色や輝きを作る一番外側の層
- 下地メッキ層:表面の仕上がりや地金との密着性などを整えるために使われる層
- 素材(地金):真鍮や合金など、パーツの土台となる金属
どのような下地やメッキが使われているか、メッキの厚さがどのくらいあるかは、商品によって異なります。
同じ「ゴールドメッキ」と書かれていても、色味や質感、時間がたったあとの変化に違いが出ることがあるのは、そのためです。
メッキパーツが悪いということではありません。
価格やデザインの選択肢が多く、作品に取り入れやすいという良さがあります。
大切なのは、メッキ加工されたパーツであることを理解し、商品説明に書かれている土台(地金)の素材や表面加工を確認した上で使うことです。
ニッケルフリーって何?
アクセサリーパーツを探していると、「ニッケルフリー」と表示された商品を見かけることがあります。
ニッケルは、金属の強度や加工性を高めたり、メッキの下地に使われたりすることがある金属です。一方で、金属アレルギーの原因の一つとしても知られています。
ここで区別しておきたいのが、「ニッケルフリー」と「ニッケルフリーメッキ」です。
「ニッケルフリー(NF)」は、ニッケルを含まないことを示す表示です。
一方、商品説明に「ニッケルフリーメッキ」や「ニッケルフリー加工」と書かれている場合は、表面のメッキ工程でニッケルを使用していないことを指している場合があります。
その場合、表面のメッキはニッケルフリーであっても、下地や素材となる地金までニッケルを含まないとは限りません。
仕入れるときは、「ニッケルフリー」という言葉だけで判断せず、どの部分を対象とした表示なのか、仕入れ先の商品説明まで確認することが大切です。

図解②は、表面のメッキ加工だけがニッケルフリーと表示されている場合に、どこまで確認したいかを示したイメージです。
商品を選ぶときは、次の点を確認してみましょう。
- 製品全体がニッケルフリーなのか
- 表面のメッキ加工だけがニッケルフリーなのか
- 下地メッキに使われている金属は何か
- 素材となる地金の種類は何か
- 仕入れ先の商品説明や注意書きに記載があるか
また、ニッケルフリーであっても、すべての方にアレルギーが起こらないという意味ではありません。
金属に対する反応には個人差があり、ニッケル以外の金属が合わない方もいます。
販売するときは、「絶対にアレルギーが起こらない」「誰でも安全」と言い切らず、使用している素材や表面加工を、分かる範囲で正確に伝えることが大切です。
ニッケルフリーやサージカルステンレスと金属アレルギーの関係については、第3回の記事で詳しく取り上げます。
私がパーツを選ぶときに見ていること
私はパーツを選ぶとき、価格だけで決めるのではなく、作品に合うか、お客様へきちんと説明できるかも考えるようにしています。
素材が具体的に表示されているか
まず確認するのは、パーツの商品ページに書かれている素材です。
「ゴールド」「シルバー」は色の名前であり、素材名とは限りません。
真鍮、合金、ステンレス、Silver925、14KGFなど、パーツ本体の素材や加工方法が分かるかを確認します。
さらに、メッキやコーティングが施されている場合は、表面加工についても見ておきます。
詳しい素材が分からないパーツを使うこともありますが、その場合は、自分で確認できていない情報を推測してお客様へ伝えないようにしています。
作品の色や雰囲気に合っているか
同じゴールドカラーでも、黄色みの強いもの、赤みのあるもの、落ち着いた色合いのものなどがあります。
お花や天然石の色がきれいでも、金具だけ色味が大きく違うと、作品全体がまとまりにくくなります。
一つの作品に複数のパーツを使う場合は、できるだけ近い色や質感を選ぶようにしています。
また、繊細な作品には細めのパーツ、存在感のある作品には全体の印象に負けないパーツなど、デザインとのバランスも考えます。
販売価格とのバランスが取れているか
品質を考えることは大切ですが、高価なパーツを使うことだけが正解ではありません。
パーツの価格が上がれば、その分だけ作品の原価も上がります。
販売価格とのバランスが取れないまま高価な素材を選ぶと、作り続けることが負担になってしまうこともあります。
どのようなお客様に届けたい作品なのか、日常使いなのか、特別な日のアクセサリーなのかを考えながら、作品に合う素材を選ぶことが大切です。
仕入れ先の情報や購入方法も確認する
アクセサリーパーツは、貴和製作所やパーツクラブなどの専門店をはじめ、さまざまなお店で購入できます。
実店舗があるお店なら、パーツの大きさや色味、質感などを自分の目で確認できるため、初めて使うパーツを選ぶときにも安心感があります。
一方、インターネットで購入する場合は、写真だけでは実際の色や厚み、金具の使いやすさまで分からないことがあります。
同じ「ゴールド」と表示されていても、黄色みが強いものや落ち着いた色合いのものがあり、手持ちのパーツと合わせたときに違いが目立つこともあります。
そのため、初めて利用するお店や初めて使うパーツは、最初から大量に仕入れず、少量だけ取り寄せるようにしています。
まずは自分用の作品を一つ作り、実際に着けたり、しばらく保管したりしながら、色味や使いやすさ、変化がないかを確認してから販売作品に使うと安心です。
素材の表示やサイズ、購入者のレビューなども参考になりますが、説明だけで判断せず、自分で一度試してみることもパーツ選びでは大切だと感じています。
まとめ
アクセサリーパーツは、作品を完成させるための小さな部品ではなく、作品全体の印象や使いやすさを支える大切な部分です。
合金や真鍮、ステンレス、Silver925、14KGFなど、素材によって特徴は異なります。
また、見た目が同じゴールドカラーでも、素材そのものの色なのか、メッキ加工による色なのかによって、作りや特徴は変わります。
高価なパーツを使えば、必ずよい作品になるわけではありません。
大切なのは、それぞれの素材について知り、作品のデザインや用途、販売価格、お客様に合うものを選ぶことです。
初めて使うパーツや仕入れ先に迷ったときは、いきなり大量に購入せず、まずは少量を取り寄せて、自分用の作品で試してみることから始めてみてください。
メインとなるモチーフだけでなく、小さなパーツまで考えて選ぶことが、お客様に安心して長く使ってもらえる作品づくりにつながります。
次回は、制作した作品や仕入れたパーツをきれいな状態で保つための「保管方法」についてご紹介します。
参考資料
本記事は、以下の資料を参考にし、ハンドメイド作家としての経験をもとにまとめています。
- 一般社団法人日本ジュエリー協会「ジュエリーおよび貴金属製品の素材等の表示規定 2026年度改訂版」
- 一般社団法人日本伸銅協会「伸銅品について」
- ステンレス協会「ステンレスの耐食性と腐食現象について」
- 全国鍍金工業組合連合会「各種表面処理概要」
- 公益社団法人日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」
※各資料は2026年7月22日に確認しています。


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