こんにちは。
ハンドメイド起業のための数秘コンサルタントの石塚仁子です。
「長く愛されるハンドメイド作品を作るために」シリーズ 第3回
今回は、金属アレルギーの基本と、サージカルステンレスやニッケルフリーの表示についてご紹介します。
ハンドメイドアクセサリーを販売していると、お客様から「金属アレルギーでも使えますか?」と聞かれることがあります。
サージカルステンレスやニッケルフリーと表示されたパーツを見ると、「この素材なら、金属アレルギーの方にも大丈夫」と思うかもしれません。
しかし、金属に対する反応には個人差があります。
特定の素材を使用していても、すべての方にアレルギー反応が起こらないとは言い切れません。
また、ピアス芯はサージカルステンレスでも、キャッチや丸カンなど、ほかの部分には別の素材が使われていることもあります。
作家にできるのは、「絶対に大丈夫」と保証することではなく、使用している素材をできるだけ正確に確認し、お客様が選ぶための情報を伝えることです。
今回は、「長く愛されるハンドメイド作品を作るために」シリーズの第3回として、金属アレルギーの基本的な考え方と、サージカルステンレスやニッケルフリーの見方、商品説明に記載するときのポイントをご紹介します。
金属アレルギーとは?
金属アレルギーは、アクセサリーなどに使われている金属によって、かゆみや赤み、湿疹などの症状が現れることです。
金属そのものに触れただけで、すべての方に症状が起こるわけではありません。
汗などによって金属の成分が溶け出し、皮膚に触れることで、アレルギー性接触皮膚炎を起こす場合があります。
反応が現れるかどうかは、体質や肌の状態、使用する素材、着用時間、汗の量などによって異なります。
これまで問題なく使えていた素材でも、後から反応が現れる可能性があります。
反対に、ある素材が合わなかったからといって、すべての金属が使えないとは限りません。
金属アレルギーの有無や原因となる金属について、作家が見た目だけで判断することはできません。
原因になる金属はニッケルだけではありません
金属アレルギーというと、ニッケルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、アレルギーの原因となる可能性がある金属は、ニッケルだけではありません。
ニッケル、コバルト、クロムなど、さまざまな金属が接触皮膚炎の原因になることがあります。
そのため、「ニッケルフリーだから、すべての金属アレルギーに対応できる」とは限りません。
お客様がどの金属に反応するか分からない場合は、普段問題なく使用できている素材をご本人に確認してもらうことも大切です。
「金属アレルギー対応」は絶対に安全という意味ではありません
アクセサリーパーツの商品説明には、「金属アレルギー対応」「アレルギー対応素材」などと書かれていることがあります。
これらは一般的に、金属アレルギーが起こりにくいとされる素材や加工を使用していることを表す言葉として使われています。
しかし、「対応」と「絶対に症状が起こらない」は同じ意味ではありません。
同じ素材でも、問題なく使用できる方もいれば、肌に合わない方もいます。
そのため、販売時には次のような表現を避けた方が安心です。
- 絶対に金属アレルギーが起こりません
- 金属アレルギーの方でも大丈夫です
- 誰でも安心して使えます
- 完全にアレルギー対応です
- 肌が弱い方でも安全です
アレルギーについて質問されたときに、「大丈夫です」と答えたくなる気持ちもあるかもしれません。
しかし、作家が症状の有無を判断したり、安全性を保証したりすることはできません。
お客様を突き放すのではなく、分かっている素材情報と、反応には個人差があることを丁寧に伝えましょう。
サージカルステンレスとは?
ハンドメイドアクセサリーでは、「サージカルステンレス」や「サージカルステンレス316L」と表示された金具をよく見かけます。
ステンレスは、鉄を主成分とし、クロムなどを含む合金です。
ステンレスには複数の種類があり、含まれている成分や特徴は同じではありません。
316Lはステンレスの種類の一つで、クロムやニッケル、モリブデンなどを含み、比較的耐食性の高い素材です。
ただし、「サージカルステンレス」という言葉だけでは、具体的な鋼種が分からない商品もあります。
パーツを仕入れるときは、可能であれば「316L」などの具体的な素材表示があるかを確認しましょう。
316Lにもニッケルは含まれています
「サージカルステンレスはニッケルフリー」と思われることがありますが、316Lには一般的にニッケルが含まれています。
ステンレスの中で成分が安定していることや、表面に保護膜が形成されることで、金属成分が溶け出しにくいとされている素材です。
しかし、ニッケルそのものをまったく含まない素材という意味ではありません。
316Lを使っている場合も、「ニッケルを含まない」と説明しないよう注意しましょう。
どの部分に使われているかを確認する
商品ページに「サージカルステンレス使用」と書かれていても、アクセサリーのすべての部分が同じ素材とは限りません。
例えば、次のような違いがあります。
- ピアス芯だけがサージカルステンレス
- フックやイヤリング金具全体がサージカルステンレス
- 金具の土台はサージカルステンレスで、表面にメッキ加工がされている
- ピアス芯はサージカルステンレスでも、キャッチは別素材
- 金具はサージカルステンレスでも、丸カンやチャームは合金や真鍮

ピアス芯は肌に直接触れる部分ですが、キャッチや丸カン、モチーフの裏側も肌に触れることがあります。
「ピアス芯がサージカルステンレスだから、作品全体がアレルギー対応」と考えず、作品に使っているすべての金属パーツを確認しましょう。
ゴールドカラーは表面加工されている場合があります
ステンレスそのものは、一般的にシルバーに近い色をしています。
ゴールドやピンクゴールドなどの色が付いたサージカルステンレスパーツは、表面にメッキやコーティングなどの加工が施されている場合があります。
この場合、土台の素材がサージカルステンレスであっても、肌が触れる一番外側は表面加工された部分です。
仕入れ先の商品説明で、土台の素材だけでなく、メッキやコーティングの有無も確認しましょう。
ニッケルフリーとは?
ニッケルフリーとは、一般的にニッケルを使用していないことを表す表示です。
ただし、アクセサリーパーツでは「ニッケルフリーメッキ」「ニッケルフリー加工」など、表面加工について使われていることもあります。
第1回の記事でもご紹介したように、表面のメッキがニッケルフリーであっても、下地や土台となる素材までニッケルを含まないとは限りません。
仕入れるときは、次の点を確認しましょう。
- 製品全体がニッケルフリーなのか
- 表面のメッキ加工だけがニッケルフリーなのか
- 下地メッキに使われている金属は何か
- 土台となる素材は何か
- ピアス芯やキャッチなど、部位ごとの素材は何か
商品説明を読んでも対象となる範囲が分からない場合は、仕入れ先へ問い合わせる方法もあります。
確認できないことを推測して、お客様へ伝えないようにしましょう。
分からないことは断定しない
仕入れ先の商品ページに「ニッケルフリー」としか書かれておらず、素材や加工の詳しい内容が分からない場合もあります。
そのようなときは、確認できていない情報を「おそらく大丈夫」「たぶん含まれていない」と判断しないことが大切です。
商品説明には、仕入れ先で確認できた範囲だけを記載しましょう。
例えば、「ニッケルフリーメッキ加工の金具を使用しています」と書くことはできますが、製品全体について確認できていない場合は、「ニッケルをまったく含みません」とは書かないようにします。
樹脂ピアスなら安心?
金属アレルギーへの選択肢として、樹脂ピアスや樹脂ノンホールピアスを用意する方法もあります。
ただし、「樹脂だから、誰でも安心」とは限りません。
樹脂素材にも種類があり、肌との相性には個人差があります。
また、ポスト部分が樹脂でも、次のような部分に金属が使われていることがあります。
- キャッチ
- 丸カン
- モチーフを固定する台座
- 接続パーツ
- 装飾部分
金属部分が肌に触れるデザインになっていないか、作品全体を確認しましょう。
樹脂パーツは金属に比べて曲がったり折れたりすることもあるため、素材だけでなく、作品の重さやデザインとのバランスも大切です。
アレルギー対応パーツを選ぶときに確認したいこと
パーツを選ぶときは、「アレルギー対応」という言葉だけで判断せず、商品説明の詳しい内容を確認しましょう。
パーツ全体の素材が表示されているか
まずは、パーツ本体の素材が具体的に表示されているかを確認します。
「ゴールド」「シルバー」「ロジウムカラー」などは色や表面の仕上がりを示す言葉であり、土台となる素材名とは限りません。
ステンレス、316L、真鍮、合金、樹脂など、パーツ本体の素材が分かるかを見ておきましょう。
一部分だけ違う素材が使われていないか
一つの金具に見えても、複数の部品から作られていることがあります。
例えば、ピアス芯は316Lでも、キャッチは合金という商品もあります。
イヤリング金具本体と、耳に当たるネジ部分の素材が違うことも考えられます。
次のように、作品で使う部品を分けて確認すると分かりやすくなります。
- ピアス芯やフック
- キャッチ
- イヤリング金具
- 丸カン
- チェーン
- 台座
- チャーム
- 表面加工
仕入れ先の商品説明が具体的か
パーツを選ぶときは、素材名だけでなく、仕入れ先の商品説明や注意書きも確認しています。
「アレルギー対応」とだけ書かれているものより、次のような情報が具体的に記載されている方が、お客様へ説明しやすくなります。
- 土台となる素材
- 使用しているステンレスの種類
- メッキやコーティングの有無
- ニッケルフリーの対象範囲
- パーツごとの素材
- 使用上の注意
インターネットで初めて購入するパーツは、いきなり大量に仕入れず、少量から取り寄せる方法もおすすめです。
ただし、自分が問題なく使えたからといって、すべてのお客様にも症状が出ないとは限りません。
自分で試すことは、使いやすさや品質を確認するための一つの方法として考えましょう。
商品説明にはどう書けばいい?
商品説明では、「金属アレルギー対応です」とだけ書くのではなく、使用している素材を具体的に記載することが大切です。
お客様が普段使用できている素材と比べ、自分で判断できる情報を伝えましょう。
サージカルステンレス316Lを使用している場合
ピアス金具には、サージカルステンレス316Lを使用しています。
比較的耐食性の高い素材ですが、すべての方に金属アレルギー反応が起こらないことを保証するものではありません。
金属に対する反応には個人差があります。使用中に赤みやかゆみなどの異常を感じた場合は、すぐに使用を中止してください。
ピアス芯だけがサージカルステンレスの場合
ピアス芯にはサージカルステンレス316Lを使用しています。
キャッチ、丸カン、モチーフの金属部分には別の素材を使用しています。作品全体がサージカルステンレス製ではありませんので、素材をご確認のうえお選びください。
すべての方に金属アレルギー反応が起こらないことを保証するものではありません。
ニッケルフリーメッキの場合
金具には、ニッケルフリーメッキ加工を施したパーツを使用しています。
表面加工に関する表示であり、製品のすべての部分にニッケルが含まれていないことを保証するものではありません。
また、すべての方に金属アレルギー反応が起こらないことを保証するものではありません。
樹脂ピアスの場合
ピアス金具には樹脂素材を使用しています。
丸カンやモチーフの接続部分には金属パーツを使用していますので、金属部分がまったくない作品ではありません。
樹脂素材を含め、肌との相性には個人差があります。異常を感じた場合は、すぐに使用を中止してください。
お客様から質問されたときの返信例
お客様から「金属アレルギーでも使えますか?」と聞かれたときは、使用している素材を伝えたうえで、症状が出ないことは保証できないと丁寧に説明しましょう。
お問い合わせありがとうございます。
こちらの作品には、ピアス金具としてサージカルステンレス316Lを使用しています。丸カンとモチーフの金属部分には、○○素材を使用しています。
金属に対する反応には個人差があるため、アレルギー症状が起こらないことを保証することはできません。
普段問題なくお使いいただけるアクセサリーの素材とあわせて、ご検討いただけましたら幸いです。
お客様が原因となる金属を把握している場合は、作品に使っている素材と照らし合わせてもらうことができます。
素材の詳細が分からない部分については、曖昧に答えず、「仕入れ先の表示では確認できていません」と正直に伝えましょう。
仕入れ時の素材情報は残しておこう
パーツを購入したときには素材を確認していても、時間がたつと、どの商品ページから購入したのか分からなくなることがあります。
また、同じように見えるパーツでも、仕入れ時期や商品によって素材が異なる可能性があります。
お客様から問い合わせがあったときに確認できるよう、次のような情報を残しておくと安心です。
- 仕入れ先
- 商品名や品番
- 購入日
- 素材表示
- 表面加工の内容
- ニッケルフリーの対象範囲
- 商品ページのスクリーンショット
- 商品パッケージや注意書き
商品ページは、販売終了や内容の変更によって、後から見られなくなることもあります。
必要な情報は、スクリーンショットや管理表などで手元に残しておきましょう。
作品ごとに使用したパーツを記録する
仕入れたパーツの情報だけでなく、どの作品に何を使ったのかも記録しておくと便利です。
例えば、次のような項目を商品コードと一緒に管理します。
- ピアス・イヤリング金具
- キャッチ
- 丸カン
- チェーン
- 台座
- チャーム
- 表面加工
同じデザインでも、制作時期によって使用したパーツが変わることがあります。
仕入れ先を変更したときや、代替パーツを使用したときも記録しておくと、後から確認しやすくなります。
お客様が選べる金具を用意する方法もあります
作品のデザインや強度に問題がなければ、複数の金具を選べるようにする方法もあります。
例えば、次のような選択肢です。
- サージカルステンレス製ピアス
- 樹脂ピアス
- イヤリング
- 樹脂ノンホールピアス
ただし、どの金具もすべてのお客様に合うとは限りません。
選択肢を増やすことと、「この金具なら絶対に安心」と保証することは別です。
また、作品の重さや接続方法によっては、金具を変更すると強度や見た目のバランスが保てないこともあります。
変更が難しい作品は、無理に対応せず、商品説明に「金具変更不可」と記載しましょう。
アレルギー表示で確認したいこと
- □ 使用している金具の素材を確認している
- □ ピアス芯やキャッチなど、一部分だけ素材が違わないか確認している
- □ メッキやコーティングの有無を確認している
- □ ニッケルフリーがどの部分を指すのか確認している
- □ 「絶対安全」「誰でも大丈夫」と断言していない
- □ 商品説明に使用素材を具体的に記載している
- □ 仕入れ先や購入時期を記録している
- □ 作品ごとに使用したパーツの情報を残している
まとめ
サージカルステンレスやニッケルフリーと表示されたパーツでも、すべての方に金属アレルギー反応が起こらないとは言い切れません。
また、「サージカルステンレス使用」と書かれていても、ピアス芯だけに使われている場合や、キャッチや丸カンには別素材が使われている場合があります。
作家にできるのは、アレルギーが起こらないと保証することではありません。
どの部分に何の素材を使っているのかを確認し、分かる範囲で正確に伝えることです。
詳しい素材が確認できない場合は、推測せず、分からないことも含めて正直に伝えましょう。
使用している素材や表面加工を具体的に記載することで、お客様は普段使える素材と比べながら、自分に合う作品を選びやすくなります。
アレルギー対応とは、「絶対に大丈夫」と約束することではなく、お客様が安心して選ぶための情報を用意することだと私は考えています。
次回は、仕入れたパーツを作品に使う前に確認したい、色味やロット差、金具の硬さなどのチェックポイントをご紹介します。
あわせて参考に
サージカルステンレスやニッケルフリーについて理解するには、パーツの素材やメッキの仕組みを知っておくことも大切です。
ハンドメイド作品はパーツ選びで印象が変わる|長く愛される作品づくり①素材の違いと選び方
参考資料
本記事は、以下の資料を参考にし、ハンドメイド作家としての経験をもとにまとめています。
- 公益社団法人日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」
- 公益社団法人日本皮膚科学会「アレルギー性接触皮膚炎が発症するメカニズムはどのようなものですか?」
- 公益社団法人日本皮膚科学会「金属、歯科材料による接触皮膚炎はどのようなものですか?」
- ステンレス協会「ステンレス鋼・ステンレス製品の表示について」
- ステンレス協会「ステンレスの種類」
- 一般社団法人日本ジュエリー協会「ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定」
※本記事は一般的な素材表示と作品販売時の伝え方をまとめたものであり、金属アレルギーの診断や治療に代わるものではありません。症状や使用できる素材について不安がある場合は、皮膚科などの医療機関へご相談ください。
※各資料は2026年7月22日に確認しています。


コメント